2021/08/20
過去の赤字を相殺~欠損金の繰越控除について~
From 伊澤真由美
池袋のオフィスより
個人事業で営業されている方なら、次の決算・申告はまだまだ先の話ですが、会社経営の方の場合はそれぞれ決算期が異なりますから、今月申告の会社もあれば、まだ大分先の会社もあります。
決算というのは、通常、1年ごとに区切って行います。
その年の決算・申告で税金がかかるかどうかは原則として、その年が黒字なのか、赤字なのかによります。
赤字の場合は、通常、利益に対してかかる税金は発生しません。
法人税や法人住民税、事業税はかからずに決算と申告が終了し、次の年度はまたゼロからスタートします。
ゼロから積み上げて、赤字になるか、黒字になるかはその年の業績次第です。
これまで、順調に業績を伸ばしてきた会社でも、昨年や今年、新型コロナウイルスの影響で、はじめて赤字になったという場合もあります。
仮に昨年の決算では、お店を休業したり時短営業をしたために赤字になっていたとします。
その場合、申告をしても、当然法人税などの税金はかかりません。
(ただし、法人の場合は、赤字でもかかる「均等割」という税金がありますので納税がまったくゼロになるわけではありません)
今年になってから業績が回復し、黒字になったのであれば、決算はあくまで年度ごとですから、本来は今年の黒字に対して税金がかかります。
しかし、青色申告を行っている場合には、税金の計算をする際に過去の赤字を、後から出た黒字と相殺することができます。
この制度を「欠損金の繰越控除」といいます。
例えば、昨年の赤字が1,000万円、今年の黒字が800万円であれば差引でマイナス200万円ですから今年も法人税などの税金はかかりません。
ただしこの制度、無限に赤字を持ち越して相殺できるわけではなく、使える期間が決まっています。
法人の場合、平成30年4月1日以後に開始した事業年度で発生した赤字は10年間繰り越して、黒字と相殺することができます。
(それ以前に発生した赤字が繰り越せる期間は9年間です)
10年以内に使い切れなければ、切り捨てられてしまいますが、逆に言えば、10年間で使えれば、それだけ納税を減らすことができるのです。
先ほどの例えで言うと、200万円の赤字が残っていましたから、これはさらに翌年に繰り越して、黒字と相殺できる、ということになります。
なお、この欠損金の繰越控除の制度を使える会社には、条件があります。
②翌年以降、連続して申告をしていること
一般的に青色申告で申告をされている会社が多いので、対象にならないということはあまりないと思いますがこの点はご注意ください。
P.S.
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